【開催レポート】変わりゆく働き方の未来〜これからの働く場所・組織のあり方を考える〜
2021年8月2日、8月9日にat Will Work主催のオンラインセミナー 『変わりゆく働き方の未来〜これからの働く場所・組織のあり方を考える〜』を配信しました。
2021年度は、様々なゲストをお迎えし、隔月でオンラインセミナーを開催いたします。
Vol.3は「変わりゆく働き方の未来」をテーマに開催。
新型コロナウイルスへの全国的な広がりにより、テレワークなど企業における働き方の変化が全国的に広がっています。まだまだ先が見えない不透明な状況の中、「働く場所」や「組織のあり方」が、今まさに多くの企業で課題テーマとなっています。
本セミナーでは、株式会社ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員 石崎 真弓 氏、株式会社リクルート 執行役員(総務・働き方変革担当)野口 孝広 氏、株式会社ソニックガーデン 代表取締役 倉貫 義人 氏をお迎えし、改革推進の現場においての苦労やリアルな現状を伺いました。
▼本セミナーのアーカイブ動画はこちら
https://youtu.be/fJd3BmjAtCg
まず初めに、株式会社ザイマックス石崎氏より、近年の「働く場所」の変化についてお話しいただきました。
ザイマックス不動産総合研究所では、過去4回オフィスを持つ企業様に対しアンケートを行い、新型コロナウイルス流行前と後での働く場の変化を調査しています。
・コロナ禍の出社率の現状と収束後の意向について
石崎氏:まず、コロナ禍における出社率について。現在多くの企業で出社制限が行われています。収束後も7割の企業がテレワークを続けると回答。多少の揺り戻しは予想されますが、収束後もテレワークがデフォルトとなる企業が多いと予想されます。
・床需要の構造変化について
石崎氏:コロナ禍でテレワークが中心となり、オフィスを縮小する企業が増えました。今までは、人数の増加に比例してオフィスを拡大する必要がありましたが、テレワークとオフィス出社を効率よく組み合わせることで、社員数が増加してもオフィスを拡大する必要性がなくなり、より効率的な人材政策が可能となりました。
・ワークプレイスのハイブリッド化について
石崎氏:本社の機能についても見直されるようになり、特に「コミュニケーションを活発にするための場である」という役割が浮き彫りになりました。それにより、「リモートブースを増やす」「席数を減らす」等、テレワークとオフィスをハイブリッド化する施策に多くの企業が必要性を見出しています。また、本社以外の働く場としては、在宅勤務やサテライトオフィスへの移行が進み、郊外化が進んでいます。
石崎氏の話から、コロナ禍によりオフィス機能の本質が明確になったことが明らかになりました。
続いて、実際に働き方改革推進に取り組んでいる、株式会社リクルート野口氏、株式会社ソニックガーデン倉貫氏に社内のリアルな実情についてお話いただきました。
・リクルートでのコロナ前後の働き方
リクルートでは、コロナ前から既に一定数の社員がテレワークを行っていましたが、コロナ禍によりほとんどの社員がテレワークに移行。10年間ほどの改革の流れがこの1年で一気に進んだ感覚だと野口氏はいいます。
野口氏:多くの社員がテレワークとなったことや会社の統合が重なり、リクルートではこの機に人材マネジメントポリシーの刷新を行いました。テレワークでも社員が働きやすく、判断基準が明確になるよう、「個人の自律性を尊重すること」を重要視することに決めました。それを軸にフレキシブル休暇の導入やその他休暇・休職制度の変更などを新たに行いました。
野口氏:また、ブレストや新人教育などはリアルの場の方が生産性が高いと思われがちでしたが、テレワークでオンラインに切り替えざるを得なくなり、チャレンジしてみたところ、実はオンラインでも同じかそれ以上に生産性を上げることができる、という発見がありました。
・ソニックガーデンの全社フルリモート体制までの変革
社内ベンチャーから独立したソニックガーデンでは独立当初からテレワークの導入が始まっていました。海外でワーキングホリデーをしながら働きたいというメンバーのために始まったテレワークをきっかけに、勤務地を問わず、全国にメンバーが増えていきました。東京に構えたオフィスに通うメンバーもいましたが両者が社内に混在する中で倉貫氏はリモートメンバーの弊害に気づいたといいます。
倉貫氏:自分で在宅勤務を試してみた時に、リモートメンバーは本社の情報が全然入ってこないということに気づいたんです。これではいけないと思い、本社のブラックボックス化を解消するため、2016年にオフィスを無くして全員フルリモートに切り替えました。実際、オフィスの機能である、「働く場」「会議室」「書類の保管」は全てテレワークでもクリアすることができました。
しかし、仲間が近くにいることでのモチベーション維持や雑談によるコミュニケーションの機会が失われてしまったという課題がありました。そこで、独自のバーチャルオフィスを作り、気軽に話しかけたり、雑談することができるようにしたんです。それによりソフト面でのオフィス機能もオンラインで担保することができるようになりました。
・テレワークが進まない企業の原因について
先進的な働き方改革を進めてきた両社ですが、日本ではテレワークへの移行が思うように進まない企業も多くあります。その原因についてお二方に考察をしていただきました。
野口氏:今ある働き方の型に当てはめようとしている会社はうまくいかない場合が多いと思います。なぜ働き方改革をするのか?という問いに対して、目的がずれていることが原因となっているのではないでしょうか。
倉貫氏:働き方や組織の話を表面的にしていてはうまくいきません。テレワークができるか否かという議論ではなく、ビジネス価値の提供の仕方をどう変えられるか?それはテレワークなのか?ということを論点にしなければいけないと思います。
・テレワーク移行にチャレンジする企業へアドバイス
最後にお二人からテレワーク移行にチャレンジする企業に向けてメッセージをいただきました。
野口氏:私たちは、やってみて"良い"と思ったら続けますし、"ダメ"だったら止めればいいというラフなスタンスで取り組んでいます。リスクを想定した考え方ではなかなか始められないので、まずは気軽にチャレンジしてみるのがいいのではないでしょうか。
倉貫氏:お金も仕事も全ては人間が考えた概念ですが、私は、概念は全てデジタルに置き換えられると思っています。あとは企業ごとの考え方の問題で、企業価値を高められるという視点からテレワークへの移行が必要であればチャレンジし、そうでなければやらなくていいという判断をするのがいいと思います。
会社規模や設立年数も違う両社ですが、共通しているのは、自社での働き方改革の目的が明確になっているということでした。ぜひこれから働き方改革やテレワーク移行を検討されている企業様は今回の話を参考にしていただけましたら幸いです。
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次回のオンラインセミナー は10月7日(木)・10月14日(木)に『都心部以外での働き方改革の実態』を開催予定です。(両日とも配信内容は同じです。)
2016年に働き方改革担当相が創設以降、生産性の向上や多様な働き方の実現に向けて企業では働き方改革の促進のための活動に力を入れて取り組みをされてます。
私たちat Will Workでも様々な企業での"働き方の未来"や"取り組み事例"をご紹介して参りました。
今回はこれまでと違った「都心部以外の企業での取り組み」をテーマにしたセミナーを開催します。
実際に、都心部以外の企業では同じように働き方改革は進んでいるのでしょうか?
また都心部と違った課題はどのようなものがあるのでしょうか。
それらの課題、またその課題にどのように取り組んでこられたかについて、取り組みをされてこられた企業様にお話をお聞きし、どのように改革を進めていくべきかを考えていきます。
詳細はこちら。
https://www.atwill.work/events/2021/365/